Mapping An Invisible World

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Snow Falling On Cedars
2009.10.09 (Fri) :
Snow Falling On Cedars
"ヒマラヤ杉に降る雪"
(1999/アメリカ/127min)スコット・ヒックス
Rating 8/10



Introduction
1954年、ワシントン州サン・ピエドロ島。漁師のカール・ハインが水死体で発見され、状況証拠から日系ニ世のカズオ・ミヤモトが逮捕される。カズオの妻ハツエには成す術もなく、やがて裁判が始まるが、事件を追う地元新聞の記者イシュマエルはある真実にたどり着く……。

Review
第二次大戦直後、反日感情が色濃く残るアメリカで行われた日系人の容疑者の裁判を描いた作品。物語は法廷サスペンス、人間ドラマとロマンスの3つの要素が絡み合っている。一つ目が話の軸となる日系アメリカ人の殺人容疑に対する公判。二つ目がフラッシュバックによって新聞記者イシュマエルと容疑者の妻ハツエの幼少期から続く恋が描かれている。そして三つ目が第二次大戦時における日系人の強制収容の話。物語はそのものは、偏見や正義、愛といった普遍的なテーマをもとに、現在と過去を交差させ人間関係が繊細にかつ丁寧に描かれている。

舞台は白い霧が覆い、淡々と白い雪が降り積もる港町。その街は静かなヒマラヤ杉の森と流木が居座る海岸に囲まれている。広大な自然を背景に、スコット・ヒックス監督は幻想的で凝った映像を作り上げている。映画全体的に色彩を抑えることによって、黒い水面や灯台、泪や雨、瞳など象徴的な物に意味を強く打ち出し、観るものの想像力を働かせる。また、フラッシュバックするシーンでは、イシュマエルの泪がこぼれ落ちるように、幼き頃見た情景はすべて濡れていて、幻想的な映像となっている。この美しい映像を観るだけでも、この映画にそれだけの価値はあると思う。また、ジェームズ・ニュートン・ハワードが手掛けた聖歌隊とオーケストラが奏でる劇伴音楽も絶妙で、映像の世界観と合っていた。

この映画は、第二次大戦前後を描いており、物語や出演者の表情、映像、音楽すべて暗く悲しい。しかし、静かな作品だからこそ、一つ一つのシーンにおける言葉や瞳そのものが持つ意味を考えることできる。そして映像や音楽がもたらす幻想的な雰囲気を感じることができると思います。これまで観てきた映画の中でも、お気に入りの一本です。

最後にラストシーンで印象に残ったセリフがあったので、それをまとめてあったサイトを引用します。



日本人移民を襲った殺人嫌疑。彼は移民であるがために疑われないよう
嘘をつき、アリバイ工作をします。そのためにかえって窮地に追い込まれますが
事件などほとんど無かった田舎の漁師町に住む老弁護士は
アメリカ人でありながら、アメリカ人が移民たちに犯した罪を直視し
アメリカがその建国で誓った「公正と平等と正義」その精神さえあれば罪によって人を
裁いても、人種によって裁けぬはず、と陪審員に語りかけます。
そして、自分は老人であるがゆえに、すべてを生死に照らして考えるといい
「人間の良心と品位が裁かれる時」として、ごく普通の人々が人類の成績表を
提出しなければならないときに直面している、と陪審員のみならず、全ての人々に語りかけます。

また、彼の身の潔白を証明するカギを握りながら、その妻への思いを断ち切れず
迷うアメリカ青年に、こう諭します。
「自分を執念から解き放つことは難しいことだそれが偏見、憎しみ、また愛であっても」と。
そして彼はこう続けるのです。
「偶然がこの世を支配する。支配されないのは人間の心の中だけだろう」と。
執念から身を解き放つには強い意志が必要ということでしょうか。

http://forest575.web.infoseek.co.jp/movieusa.htm#himarayasugi




Trailer


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The Day After Peace
2009.10.09 (Fri) :
The Day After Peace
"ザ・デイ・アフター・ピース"
(2008/イギリス/88min)ジェレミー・ギレー
Rating 7.5/10



Introduction
映画監督ジェレミー・ギレーは、年に一日だけ、世界中が戦争を止める日を設けようと世界に呼びかけた。その結果、2001年に9月21日が国連の定める “国際平和デー”として採択された。実際に停戦を呼びかけるため、ジェレミーはジュード・ロウと共に、危険な戦闘地域であるアフガニスタンに向かう…。

Review
9月21日が “国際平和デー(International Day of Peace)”ということを知ってましたか?日本ではシルバーウィーク中の敬老の日にあたります。その日が世界中で平和を願う日と知っている日本人は、ほとんどいないように思えます。悲しいことに私自身もこの映画を観るまで知りませんでした。

“国際平和デー”とはそもそも何か。国連が定めた平和の記念日です。すべての国、すべての人々にとって共通の理想である国際平和を記念、推進していく日。最初に宣言されたのが1981年だそうです。

しかし、これまでの“国際平和デー”の問題点は戦闘地域に対する影響力や権限がまったくなかったこと。国連が平和の日を定めていようが、戦争や争いは一時的にも止まることなく人は殺し合っている。その問題点に気づき、365日の1日でも銃弾や銃声を怯えず平穏に暮らせる日を確立しようと立ち上がったのが映画監督ジェレミー・ギレーであった。

この作品はジェレミー自身の活動をドキュメンタリー映画という形で製作されたもの。活動を始めた頃は、家族や友人以外誰も彼の言葉を聞いてくれなかった。彼は"理想主義者"という批判を受ける中、それでも地道に活動を続けた結果、セレブのアンジェリーナ・ジョリーやジュード・ロウ、ダライ・ラマ14世、そして母国イギリスの国連大使との対談へと結びつけた。ジェレミーの強い思いに胸を打たれ、次第に協力者が増え、1997年から始まった彼の活動はついに2001年の国連の決議にまで及んだ。

“国際平和デー”が世界の停戦と非暴力の日になるよう、彼はその後アフガニスタンでの一日停戦と、ユニセフ職員が立ち入ることの出来なかった地域に住む数百万人の子供達へのワクチン注射を成功させた。国連がこれまでできなかった本当の意味での“国際平和デー”を、たった一人の強い想いが実現させてしまうなんて本当に感動した。どんなに困難なことがあろうが、非難されようが、その強い想いが打ち砕かれることはなかった。

唯一の被爆国であり、平和憲法を持つ日本で生まれたからこそ、平和に対して強い想いを持たなければならないと改めて思いました。ジェレミーの活動そのものや目標実現に対する姿勢など学ぶことが多くある映画でした。レンタルショップに置いてあるかわからないのですが、是非観て欲しい一本です。

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Chapter 27
2009.09.18 (Fri) :
Chapter 27
"チャプター27"
(2007/カナダ・アメリカ/85min)J.P.シェファー
Rating 6.5/10




Introduction
1980年12月8日に起きた、元ビートルズのジョン・レノン殺害事件の真相を追った衝撃作。殺害犯マーク・デイヴィッド・チャップマン本人に取材した「ジョン・レノンを殺した男」を基に、彼が凶行に及ぶまでの3日間の経緯を描く。

Review
ジョン・レノン殺害した男マーク・デイヴィッド・チャップマンを描いた映画。ジョン・レノンが殺害された時代に生きていない自分にとっては、この映画によって事件を詳しく知ることができた。

この作品はチャップマンがジョン・レノンをいかに崇拝していたかという点よりも、愛読書であった「Catcher In The Rye(邦題:ライ麦畑でつかまえて)」が彼にどう影響したか、またシンクロしているかという点に焦点があったている。この作品ではチャップマンが「Catcher In The Rye」同様に主人公本人がストーリーを私たちに語る。本の中で、ホールデンがンが私たちに自分の過去は一切話す気がないと言い放ち本編に入るように、映画でもチャップマンが同じことを言い本編が始まる。このように映画の構成までもこの本に合わせて工夫されている。

チャップマンはNYで過ごした時間の中で、あたかも自分がホールデン・コールフィールドを演じるようになる。「インクの中に入っていく」という発言があったほど、彼は現実逃避し本に逃げ込んでいた。ホールデンがNYを放浪し汚い大人たちと出会い、その人たちを偽善者だと呼んだように、チャップマンもNYや社会に嫌気をさしていた。そして、チャップマンはホールデンの思想や行動が自らと重なるたびに、「これは偶然なんかじゃない」と独り言をぶつぶつと言う。「Catcher In The Rye」は26章までの話であり、タイトルの27章というのはチャップマンがホールデンとなり、ジョン・レノンの血で書き綴られた章となる。

チャップマンがジョン・レノンを殺害にあたるキッカケとなったのがある雑誌であった。NYで、たまたま立ち寄った本屋で買った雑誌「Esquire」に載っていたジョン・レノンのインタビューが彼を狂わす。インタビューでジョン・レノンは、チャップマンのような労働階級には到底買えないような豪邸や車、いくつもの会社を所有していること、そして何億という財産があることを語っていた。愛と平和の象徴であるジョン・レノンがそのようなことを語ること自体、チャップマンにとって裏切り行為であり、ジョンは偽善者だと怒り狂った。ホールデンが「偽善者は殺さなければならない」というその言葉に導かれチャップマンはジョン・レノン殺害を決心した。

映画では、ジョン・レノン殺害寸前のチャップマンの心の揺れが狂気的に描かれており、その後迎える終幕に向け最高の盛り上がりを迎える。善と悪が表裏一体となり、悪がチャップマンを支配するシーンは恐ろしかった。だが心の叫びが痛々しく、そして悲しかった。

この映画は、服役中の殺人犯が主役だ。そんな映画かつてないと思う。それだけ、この事件は世界中の人々にとって印象的なものであり、不可解なものなのだろう。この人はただ「Catcher In The Rye」の主人公になりきり、世界的なスターであるジョン・レノンを殺して一躍有名になろうとしたナルシストなのかもしれない。ウソばっかつく犯人だから何が真相かさっぱりわからないから、そこがまた人びとがこの犯人に注目するのかもしれない。この作品は真実に忠実に描き、犯人を美化するものでもない。また「Catcher In The Rye」と同じ構成でストーリー作ったアイディアが素晴らしかった。

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...MORE THAN 1000 WORDS
2009.07.02 (Thu) :
...MORE THAN 1000 WORDS
"1000の言葉よりも-報道写真家ジブ・コーレン"
(2006/イスラエル/78min)ソロ・アビタル
Rating 7.5/10



Introduction
報道写真家ジブ・コーレンは今日もパレスチナ人自治区へと取材に向かう。ここでは毎日のように何かが起こっている。今日の彼の出発点となった一枚の写真。それは自爆テロで爆破されたバスの写真だ。世界中のコンクールで賞を総ナメにした彼だが、その現場を目の当たりにしたトラウマは今も残っている。銃弾が飛び交う中でもカメラのシャッターを切る彼に密着し、また妻や友人たちの証言を交えながら、報道写真家とは何かに迫る。

Review
イスラエルで報道写真家として生きるジブ・コーレンを追ったドキュメンタリー映画。

ジブさんは365日報道写真家として生きている。これまで私自身報道写真家という職業にスポットが当たった映像を観たことがなかった。だから、その喜びや苦悩を知ることができて良かった。ジブさんのように報道写真家として生きる人間は、生活を捨ててでも「真実」を伝えたいと強い気持ちを持って仕事をしている。

近年では雑誌の売り上げが落ち、特に戦争や社会問題を扱う雑誌が低迷している。だから、写真が掲載される倍率も高くなり、活動に見合った報酬を得られない。もともと、ファッションなどの商業写真と違い、報道写真はハイリスク・ローリターンである。報道写真家として生きていくには相当の覚悟が必要だ。収入の面だけでなく、精神的な負担も大きい。流れ弾によって仲間の報道写真家が亡くなったり、自爆テロによってバラバラになった遺体を目の当たりにするなど、脳裏に焼き付いて眠れない夜が続くという・・・。それだけ過酷な仕事である。だから、この映画を観終わると、たった一枚の写真に込められた想いを感じられるようになると思う。

考えてみると、一枚の写真なんだけど、この映画のタイトルのように、多くのことを物語る。たった一枚の写真だけど、そこにはその写真を撮った人が居て、その人が物語を語りかける。何で、その場所で、そのタイミングで、その被写体を写したのか。残虐な写真に慣れるのでなく、まずは想像することで、目をそむけたくなるような現実と向き合えるのかもしれない。

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City Of Men
2009.06.04 (Thu) :
CityOfMen
"シティ・オブ・メン"
(2007/ブラジル/106min)パウロ・モレッリ
Rating 8/10



Introduction
ファヴェーラの丘、デッド・エンド・ヒルでは丘の領域をめぐりギャングの抗争が起こっていた。そこで幼い頃から本物の兄弟のように育った2人――2歳の息子の父親アセロラと、父親を知らずに育ったラランジーニャ。2人が18歳になる年、長い間行方不明だったラランジーニャの父親が現れ、2人の関係が急激に変わり始める。父との生活を優先したくなったラランジーニャはアセロラと距離を置くようになる。アセロラはギャングの抗争に捲き込まれ、自分の父親がラランジーニャの父親に殺されたことを知る。そしてファヴェーラに火が放たれ銃撃戦が始まる……。2人の友情は現実に引き裂かれてしまうのか? 陽気な地獄を生き抜く術は、銃か、友か、それとも……

Review
フェルナンド・メイレレス監督の代表作「CITY OF GOD(原題:Cidade de Deus)」から、受け継がれるブラジルの貧困街を舞台した物語。「CITY OF GOD」の世界観はそのままに、キャストや設定などを変えテレビドラマとして放映されたスピンオフ作品の「CITY OF GOD-THE TV SERIES-(原題:Cidade dos Homens)」の完結編となる。(*「CITY OF GOD」の続編ではない)

ドラマシリーズの完結作と言っても、別にドラマシリーズを観なくても「CITY OF MEN」単体だけでも楽しめる。ですが、ドラマシリーズで主人公のアセロラやラランジーニャの友情、家族、恋人、ギャングとの関わりを知ると、感情移入しやすくなると思います。舞台となるファヴェーラの丘には血縁関係にある人々が多くを暮らしているので、相関関係がちょっと複雑なのでじっくりドラマシリーズから観ることをお勧めします。

今作ではアセロラとラランジーニョが幼い頃にいなくなた父親が登場し、父親の世代に起きた事件が明るみになり二人の友情に亀裂が入る。18歳の二人が、大人になる段階で、幼い頃から共にしてきた相棒との関係、そして家族の存在を考える。ギャングの抗争というよりは、人間ドラマがメイン。特に、ラランジーニョと父親の話がとても悲しかった・・・。初めて父親と誕生日を過ごすときに、あんな結末を迎えてしまうとは・・・。フェンス越しに一言も発することなく見つめるラランジーニョの表情が切なかった。

映画を見始めた頃に出会った「CITY OF GOD」。衝撃的な作品だった。その世界観にのめり込み今作まで観てきた。この映画が好きなのは、たぶんこの街やそこに暮らす人々が持つ光や闇のコントラストだと思う。ブラジルという国柄と同様に丘に暮らす人々はギャングを含め自由奔放で陽気なんだけど、貧困街の不安定さが反映されたように怒りや悲しみがふと瞬間に表れる。太陽が降り注ぎ、サンバが流れ、子供たちの楽しげな声が聞こえる街が、闇の中で一転して銃声や怒号が飛びかえる。その変化に違和感がなくきれいに流れていくのが、惹きつけられる理由な気がします。

Trailer


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